走らんか副社長

【中山道 西行】

78区 大宮~宮原

前回途中離脱した氷川神社の長い参道に戻って再開する。

鹿島神宮、香取神宮をはじめ、あちこちの神社を訪ね歩いて感じるのは、格の高い有名な神社ほど、歴史があるのだから当然のことなのだが樹木も立派だということ。ここ氷川神社も参道には堂々たる欅の巨木が並んでいる。(“欅”という字はなかなかの難読だと思うのだが、今の若者がケヤキと難なく読めるのは欅坂なんとかというアイドルグループのおかげだ)。

その欅の地上に出た根が巨大化して石垣が破壊されている様子を観察したのだが、実はこの写真を撮影している私の背後はたいへんな人混みなのだ。正月の三が日は過ぎているが、今日は土曜日なので初詣の人がとんでもなく多い。縁日よろしく食べ物の屋台が並んでおり、北海道名物じゃがバターあり、広島名物お好み焼きあり、福岡太宰府名物梅が枝餅あり、はてはトルコ名物ケバブあり、呼び込みの声が騒々しい。私にとって初詣とは、近所の、地元の人しかお参りしない神社を三社回るのが毎年の恒例なので、これほどまでに賑やかな初詣は初めてだ。


初詣に並ぶ人々の行列から少し離れたところに、戦艦武蔵の碑がある。最近フィリピン沖の海底に沈んでいる船体が見つかった武蔵だが、なぜその碑がここにあるのかというと、武蔵国一宮であるここ氷川神社から分祀された神社が武蔵神社として艦上に祀られていたから、とのこと。戦争の悲劇を今に伝える碑に思いがけず接し、一礼して先に進むが、大勢の初詣客のうち、ここで足を止める人はほとんどいない。


氷川神社の境内を本殿の裏手から出ると、大宮公園に入る。大宮アルディージャの本拠地であるサッカー場や、野球場、水泳場もある広い広い公園だが、松がまばらに直立している林が印象的だ。佐賀県唐津市の虹の松原では、密集した松が海風によって屈曲している様子を見慣れているので、同じ松でもこれほど違うのかと認識を新たにする。種は同じでも、環境によってまっすぐ素直に育ったり、ひねくれて性格が曲がったりするのは、人も松も同じだ。いや、虹の松原の松は性格が悪いのだろうなどと言っているわけではありません。


ひときわ目を引く奇妙な木の名はアカシデ。不気味に褶曲した表皮といい、身をよじっているように見える樹形といい、妖怪が踊っているような、あるいは怪獣映画に出てくる悪役の化け物が暴れているような姿だ。この木こそ素直に成長していないように見えるが、説明板によると、幹の成長が均一でないために、成長するにつれて表面が凸凹になるとのこと。

大宮は盆栽の街として盆栽の魅力を世界に発信中だ。今回、欅、松、アカシデとそれぞれ特徴ある樹木を題材にしたのは、私は盆栽については無知だが、凡才ながら木について書いてみようと思ったからなのだ。


前回、浦和発祥の紅赤というサツマイモについて書いたが、街道沿いの老舗和菓子店に“べにあかくん”という広告を見つけて足を止める。なぜ和菓子屋さんの前で立ち止まるのか。私はそれほど和菓子が好きなわけではない。運動したら体は糖分を欲するから、というほど本日激しい運動をしたわけでもない。紅赤とはどんな芋なのかもっと知りたいという純粋な探究心から、というほどでもない。ただ、このキャラクターに引かれただけだ。

せっかくなので記念に買い求めました。美味でありました。

2018年1月

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