恐いもの知らずのチャレンジャーが、様々なことに挑戦するこの企画。
いろいろな経験を通して、2人のチャレンジャーが
大きくなっていく様子を見守ってください。
チャレンジャーM
勤続4年目の25歳。女。
チャレンジャーS
勤続5年目の26歳。女。
第11回目は『フリークライミング』に挑戦!
 
 『フリークライミング』とは「安全確保の目的以外にはハーケン・ロープなどの道具を用いないロッククライミングのこと。奥秩父の小川山などで盛ん。また、近年は人工壁を使用して行うものが普及。(大辞林より)」
 
 唐津市のお隣の市、多久市にある佐賀県立多久高校にはクライミングウォールが設置されています。
 高さ12m、幅8mの人工壁で、高校にある施設の中では最大級のものです。 そして、この壁をSとMが登ります。
 
 
まずは多久高校登山部顧問の武末先生に壁の登り方の説明をしてもらいます。
それからお手本を見せてもらいます。
腕の力で体を引っ張り上げるのではなく、足でぐっと持ち上げます。腕の筋肉は疲れやすく、持久力がないので、持久力のある足の筋肉を使って登っていきます。
ハーネス(安全ベルト)を装着します。お相撲さんのまわしみたいですね。
クライミングシューズを履きます。スリップオンタイプのフラットソールです。ソールは摩擦力の強いゴムでできていて、すべりにくくなっています。サイズは履いた時につま先が少し曲がる程度の小さ目のものを選び、裸足で履きます。
ロープとハーネスを連結させます。8の字に結んだロープに添ってもう一度ロープを通し、二重の8の字結びを作ります。
ビレイヤー(確保者)は武末先生にお願いします。クライマーとビレイヤーの二人一組で行います。
色とりどりのホールド。これを手がかり、足がかりにして登っていきます。つかみやすいものもあれば、指先しか引っかからないものもあります。同じ色のホールドだけを使って登ったり、ホールドの脇にビニールテープが貼ってあるので、同じテープの色のものだけを使って登るなどの方法で難易度を変えているそうです。
初心者なのでトップロープ方式というスタイルで登ります。あらかじめ、ロープが一番上にかかっている状態で登ります。
まずはMから登ります。とりあえず、何も考えずに届くところに手足を伸ばしていきます。足で体を持ち上げないといけないのですが、バランスをとるのが難しく、つい腕の力を使ってしまいます。すぐに握力がなくなって、腕がプルプルしてきます。
この壁は右側ほど前傾が大きくなっています。右上の一番高いところは6メートルも前に突き出しています。私たちが登るのは一番左側のコースで、軽く前に傾いているところが2箇所あります。離れて見ている時にはそれほど傾いているようには見えなかったのですが、真下まで行って見上げてみるととても登れそうにありません。登っている間は上しか見ていないので気づかなかったのですが、Sに呼ばれて下を見てみると、Sの姿がこころなしか小さく見えます。「ずいぶん高いところまできたもんだ」と感慨にひたると同時に、「こわーい」とも思いました。
武末先生には「無理だと思ったり、危険を感じたら『テンション!』と言ってください」と言われていたのですが、なんとなく恥ずかしくて「テンション!」と叫ぶことができませんでした。それで「もうだめです」と言ったら、「ぶらさがって下さい」と武末先生に言われたので、おそるおそる壁から手と足を離します。この瞬間が一番怖いです。ロープに吊られてゆっくり降ろしてもらいます。一回目は7メートル付近まで登りました。最初の前傾の前で力尽きてしまいました。
そして、Sが登ります。結構、身軽です。
Mが超えられなかったところを軽く登っていきます。
Sの1回目の記録は10メートル。
多久高校登山部では部活動の一環としてフリークライミングも行っています。私たちの隣では生徒のみなさんが壁をひょいひょい登っています。
登山部のみなさんがやっているのはリードクライミングといって下からロープを引いて登るスタイルです。
あんな高いことまで登れるなんて!
Mの2回目のチャレンジです。前回の反省を踏まえ、腕の力はなるべく使わないようにして登っていきます。なんとか最初の前傾を登り上がることができました。
上に行くほど、どのホールドを使えばいいのか、いまどこにいるのか、わからなくなってきます。武末先生のアドバイスで手がかり、足がかりを決め10メートルのところまでいくことができました。もうへろへろです。
Sは一番上まで登りきりました。
多久高校登山部のみなさん、ありがとうございました。