走らんか副社長
【日光街道 北行】

14区 宮環一周

さて、今回はいよいよ宇都宮工場にゴールかと思ったのだが、その前にちょうど良いイベントがあったので、予定を変更して宇都宮市街を一周することにした。
 
宇都宮には市街地の外側を一周する宇都宮環状道路があり、地元の人には“宮環”と呼ばれている。宮環は一周が30数kmあり、それに市の中心部から宮環までの往復を加えると42kmでフルマラソンと同じ距離になるので、マラソンのつもりで走ってみようと企画した人がいて、第一回宇都宮環状線一周ランニング、略して“ミヤラン”が4月22日に開催されたのだ。

宇都宮工場の従業員から、栃木県の地方紙下野新聞(3月20日)の記事を教えてもらって知ったのだが、“ミヤラン”という名称も良いではないか。宮島醤油体育会ランニング部の略称と同じだ(そんな部はない!)。というわけで、さっそく参加を申込んだのだった。

大会といっても交通規制はなく、タイムを競わず歩道を走りながら宇都宮を味わおうというものなのだが、そんなことをして何が楽しいのか、という質問はランナーに対して愚問だ。のんびりと42kmを進むのは苦しくもあり、楽しくもあるのだ。


スタートとゴールは宇都宮城址公園。宇都宮城は平安後期から宇都宮氏の居城として栄え、江戸時代には徳川将軍の日光社参における宿泊地でもあったのだが、戊辰戦争で焼失している。その一部が2008年に復元されて、まだ新しい。すぐに気がつく特徴は、周囲が石垣ではなく土塁だということだが、もともと関東地方の城は土塁が一般的だったそうだ。

ローカルな大会なので、420人の参加者はほとんどが栃木県人で、県外からの参加者は数えるほどしかおらず、私も千葉県からの参加者と紹介されて歓声を受けながらスタートする。


市の中心部から西へ向かって宮環まで行き、そこから反時計回りに一周する。宮環は通称かと思っていたら、道路標識は宮環(宇都宮環状道路)となっていて、どっちが正式名称かわからない。英語ではRing Roadと言うのだな。

コースは円周状になった宮環の内側の歩道を走る。円周の外側の歩道を走るより距離が短くて良いのだが、では内と外ではどれくらい距離が違うのだろうか。

中学校の数学で習ったことを思い出してみよう。「円周をR、半径をrとすると、R=2πrです。円周の長さは2ぱいあ~る、おっぱいは2つあ~ると覚えよう。」と先生が言っていたな。そんなこと聞いたことないというあなたも、忘れているだけで、少なくとも男の先生なら必ずそう教えたはずだ。

宮環の道幅は20mくらいあるので、道路の内側の歩道と外側の歩道をそれぞれ一周した時の長さの違いは、半径が20m違う円の円周の差になる(宮環が完全な円だとして)。したがって、半径rが20m長くなったとき、円周は2×3.14×20m=約126m長くなる。

だから何だと言われそうだが、道中暇なのでそんなことを考えて走っていた。


陸上自衛隊北宇都宮駐屯地を左手に見る。滑走路の先端部分から見ているので、ずいぶんと広大な敷地が見渡せる。このあたりがコースの南端にあたる。

駅から工場に向かう道と交差する平出交差点のすぐ近くで、なぜか田んぼのあぜ道で飼われている老犬が「今日は人通りが多いな、こいつら何やってんだ。」という目でこちらを見ていた。通り慣れた道も、少し脇道に入るだけで新鮮な発見があるものだ。このあたりがコースの東端。

コースの北端にあたる所で、道の反対側に長岡の百穴古墳が見える。古墳の石室部分にあたる横穴が岩肌に52個掘られており、なんとも不思議な光景だ。穴は52個なのに百穴とは、などと野暮は言わないことにしよう。


ところで、冒頭の新聞の見出しにあるように、この大会は給水所ならぬ給スイーツポイントが9ヵ所に設置されて、地元のお菓子屋さん提供のスイーツがいただける。

↑こんなのや、

↑こんなのや、

↑こんなのを

せっかくのご厚意なので食べて休憩しながら進むが、甘いものをこんなに食べながら走った経験は初めてで、中盤以降はだんだん気持ち悪くなって後半の2ヵ所はパスしてしまった。この42km、時間にして6時間ほどの間に消費したカロリーと、摂取したカロリーはどちらが多かったのか疑問だ。


走力の衰えを感じながら、食べながら、歩きながら、携帯で撮影しながら、6時間16分かけて42kmを完走(完歩)して宇都宮を堪能することができた。大会運営のスタッフ、ボランティアの方々からたくさん声をかけられ、沿道の方からも励ましを受け、暖かい心遣いを感じた一日であった。宇都宮の皆さんに感謝。来月も宇都宮を走っぺ!

大会パンフレットと完走証

2012年4月

【参考文献】

  • JR東日本トランヴェール 2008年2月号
  • 今回の走らんかスポット