走らんか副社長
【中山道 西行】

79区 宮原~桶川

埼玉県は、さほど広くない面積の中に40もの市がひしめき合っていて、日本一市の数が多い都道府県なのだそうだ。だから、少し走るとすぐに隣の市に入る。本日はさいたま市(合併前はさらに大宮市、浦和市、与野市、岩槻市に分かれていた)から上尾市を通過して桶川市へと向かう。

上尾市に入る市境の標識を見上げると、ふつう市章がある場所にイラストのキャラクターが描いてある。これが市章なのかと思ってよく見ると、看板に後からイラストを貼り付けた様子がうかがえるし、右下には市章らしきものが申し訳程度に貼ってある。上尾市は単純な市章より、このキャラクターを推しているようだ。AgeoのAとOを図案化したものと思われるが、尾を上げているように見せているところがすばらしい。


街道沿いで見かけた樹木について書こう。いずれも落葉樹で、今は葉を落としている季節なのだが、葉を茂らせている姿をぜひ見てみたいと思う木だ。

まず、宮原小学校の校庭に立つセンダンの木。説明によると、昔この学校の先生が故郷の高知県から苗を持ってきて植えたもので樹齢140年ほど、もともと暖かい地方の木なので埼玉県で育ったのは珍しいとのこと。“センダン(栴檀)は双葉より芳し”という言葉があって、将来大物になる人物は幼少のころから才能が目立っているものだ、という意味だが、では、今たいしたことない生徒は大人になってもどうせたいしたことない、と意地悪く解釈することもできるので、小学校に植える木としてはいかがなものかと思う。ただし、ことわざになっている栴檀はインド原産の木で、日本のセンダンとは別種だそうなので、心配するには及ばない。

次は、魚好きの人が煮魚定食を食べた後の皿みたいな木だ。どう見ても魚の骨が逆立ちしているとしか思えない薄っぺらな木だが、夏にはどうなっているのか、身が付いた姿を見てみたいものだ。

もう一つは剪定がたいへんよく行き届いている木。上の方はどうやって剪定したのだろうか、さぞ大変な作業だったろうなと感心する。というか、剪定しすぎだろ!


この場を借りて新商品の紹介をさせていただきたい。当社は3月に“かけるスティックカレー”イエロー甘口とブラウン中辛の2種を発売する。1本20gのスティックが3本入りで、弁当やごはんに手軽にちょっとだけかけられるカレーである。商品名の由来は、ごはんにカレーを“かける”と、スティックから細くカレーを押し出せば字が“書ける”、絵が“描ける”をかけた、駄ジャレそのままのネーミングだ。私が命名したのだろうと思われるかもしれないが、そうではなく、この商品の企画担当者が決めたことだ。
担当者は、この商品を使ってどんなことができるのかアイデアを募集しているが、私も何か作品をつくるに違いない、と期待しているようだ。

ところで先日、国立科学博物館で開催された“古代アンデス文明展”を見たのだが、これが、実に楽しかった。いや、ミイラとか、変形された頭蓋骨とか楽しくないものもあったのだが、単純な線で人や動物が生き生きと描かれていて、その遊び心に満ちたデザインに魅かれた。千年から数千年前の作品の造形が、現代の私の感覚にぴたりと合うというのがなんとも不思議だ。

というわけで、展覧会の公式ガイドブックの帯に印刷されている金の仮面を真似て描いてみた。“かけるスティックカレー”イエローブラウンの2色をぜいたくに使って再現した、アンデスなんです。

2018年2月

今回の走らんかスポット