走らんか副社長
【北国街道 長野行】

101区(連載116回) 上田~坂城

上田市内で大㠀屋商店という看板を見つけたのをきっかけに、“島”の字の種類(異体字という)について調べてみた。私の姓にあるのはもっとも一般的な宮“島”だが、代々の墓にはなぜか宮“嶋”家と彫られている。他には、嶌田などの姓に見られる“嶌”もある。しかし、“㠀”が使われているのを見たのは初めてだ。

漢和辞典をひくと、嶋と嶌は、島と同じように用いられている「同字」、㠀は字源に忠実な「本字」というのだそうだ。字源とはこの場合、水面から出た山に鳥がとまっている状態。つまり、山の上に鳥を描いたのが㠀の字の成り立ちで、その鳥の点々を略したのが島なのだ。そうすると、嶋や嶌は字の成り立ちからするとおかしな配列ということになる。

姓に島、嶋、嶌が含まれている皆さん、参考になりましたでしょうか。


 

上田市から北西に進んだ坂城(さかき)町にはかつて鼠宿という宿場があり、今も地名として残っている。ねずみ小学校とか、ねずみ食堂とかあるとおもしろそうなのだが、残念ながらなさそうだ。

そのかわり、というわけではないだろうが、坂城だけで栽培されているねずみ大根という野菜があって、ちょうど今11月から12月が収穫の時期だという。当日は買う機会がなかったのだが、後日ネット経由で取り寄せた。たしかに、ずんぐりした形としっぽのようなひげ根がねずみっぽい。そして“ねずこん”と絶妙にネーミングされたキャラクターもいて、これがまたなかなか良い。坂木宿(かつては坂木と書いた)ふるさと歴史館にて、あまりの可愛さにクリアファイルを買ってしまった。

さて、購入したねずみ大根2kgだが、辛味大根の一種で水分が少なく、煮物には適していない。おろし大根にしても水分がまったく出ないことに驚きつつ、我が家ではまず、ざるそばの薬味として、次に鍋に入れてみぞれ鍋にし、さらに焼魚に添えていただいた。煮物やサラダ以外で大根を2kg消費するのは少々難儀だったが、ほどよい辛味で美味でありました。ねずみ大根とねずこんのおかげで、ついこの間まで存在すら知らなかった坂城町をずいぶん身近に感じるようになったのが収穫だ。

 


どうでもいいようなことを書き連ねていると、このコーナーが醤油・味噌会社のHPにあることを忘れているのではないかと思われそうだが、けっして忘れてはいない。長野県は醤油よりも、全国の味噌の約半分を生産している味噌県だ。全国ブランドになっている味噌メーカーもあるが、街道沿いにある地元の味噌屋さんに立ち寄っては味噌を購入してリュックに入れ、自宅で味わっている。九州の味噌が淡白で甘い味なのに対して、信州の味噌は深いコクのある味わいが特徴だ。自社の味噌と、買ってきた信州の味噌を2:1くらいの割合で混ぜるのが、最近の我が家の定番みそ汁であります。
   

2020年12月

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