走らんか副社長
【新潟県】

113区(連載150回) 黒姫~妙高高原

前回の続きで、いよいよ長野県から新潟県へ入るのだが、その途中で野尻湖畔をうろうろする。野尻湖といえばナウマン象だ。
 ナウマン象の歯の化石が1948年にここで発見されて以来、多くの一般の人も参加して22回にわたって発掘調査が行われている。発掘された歯や骨などの資料はナウマン象博物館に展示してあるので、ここまで来たからには行ってみる。ナウマン象とは、最初の発見者が今(なう)万蔵さんなのかと思ったら違って、東京帝国大学の教授だったドイツ人のNaumann博士に由来するのだそうだ。
 博物館の近く、国道沿いの交差点では象の親子が歩いている。数万年前には実際に見られた光景だろうが、これは象の像だ。青空と白い雲をバックに堂々と歩いている姿はりりしく、優雅でもある。なかなかエレファント、いや、エレガントだなぁ。

野尻湖の水はこの地域において貴重な農業用水として使われているそうなのだが、この夏の猛暑と少雨で極端に水位が下がっている、とニュースで伝えられていた。
 なるほど、湖畔から見るとずっと先まで陸地が続いていて、設置されている桟橋に船が着ける状態ではない。観光船が一部運休するなどの影響が出ているようだが、農業にまで影響が及びませんように。


少し足をのばして(この場合は自分の足ではなく車の力を借りて)山の中腹へ、冬はスキー場、夏から秋はコスモス園という場所に行ってみる。コスモスの向こうに野尻湖、その先の名前は知らない山々を眺めてまったりと休息。


長野から新潟に向けて旧道を進んでいると、なんとそのまま関川の関所跡を通ることになった。かつてここを通るときには厳しい調べを受けたのだろう。今でいえば海外へ行く際に空港で通過する出入国審査のようなものだ。空港では、What’s your purpose? と聞かれたら、Sightseeing.と答えようなどと、想定問答を頭の中で繰り返してどきどきするが、ここには審査官はおらず、何ごともなく無事に信濃国から越後国へと入った。


今回は妙高高原駅に着いて終了。この駅は長野県内を走っていた“しなの鉄道北しなの線”の終点であり、新潟県内を走る“えちごトキめき鉄道妙高はねうまライン”の起点でもある。もともとはJR信越本線だったものが、北陸新幹線の開業に伴って分割して経営移譲されたために、こんなややこしいことになっている。

2023年10月

今回の走らんかスポット