走らんか副社長
【番外編(連載128回)】

自粛中 まだまだ続くか海の生き物

24.サケ(鮭)(魚類)

ずいぶん前のことになるが、食品の偽装表示が大きな社会問題になった。発端は、東南アジア産のバナメイエビを使った料理が中華料理店の芝エビメニューになっていたことだったと記憶している。もちろん表示を偽装するのは良くないが、議論があちこちに飛び火するのは興味深かった。例えば、くず(葛)を使っていないくず餅は許されるのか、とか片栗粉はカタクリを使っていないのだから馬鈴薯澱粉粉と改称すべきだ、“ばれいしょでんぷんぷん”ってなんだか怒っているみたいでいいね、とか鯛焼きは鯛の塩焼きと間違って買う人がいるので、鯛型餡内包焼菓子としなければ、とか一口餃子は一口で食べきれない人のことを無視した不適切な表現だ、とか。

今書いたことの後半は冗談だが、シャケ弁問題はまじめに議論された。シャケ弁に使われている魚の多くはマスの仲間なので、シャケ弁は表示違反でマス弁とすべきだという意見がある一方で、シャケ弁という単語はすでに一般化しているので、マスを使用していてもシャケ弁でいいじゃないか、という反論もあった。

最近見なくなった
熊と鮭の彫り物

ここで、さらに問題を複雑にしているのは、原材料の魚はシャケではなく、サケだということ。だったらサケ弁が正しいことになるが、生き物のサケは食べ物になった途端にシャケと改名させられる珍しい魚なのだ。そんなこんなで議論百出、甲論乙駁、諸説紛紛、百家争鳴、喧喧囂囂(けんけんごうごう)、侃侃諤諤(かんかんがくがく)、紆余曲折あったが、最終的には混乱鮭鱒(これ以上の混乱はサケマス)、議論終結となり、鮭弁健在である。

ところで私は、シャケ弁当とシャケ弁は違うものだと認識している。白飯の横におかずとしてシャケが添えられているのはシャケ弁当、白飯の上にできれば海苔を敷いて、その上にシャケが乗っているのがシャケ弁、だと思う。賛同が得られるかどうかはわからないが。


25.タラ(鱈)(魚類)

前項のシャケとその卵であるイクラを使った“シャケいくら丼”は海鮮メニューの定番と言っていいが、なぜか、それを親子丼とは誰も言わない。親子丼は鶏肉と鶏卵を使った丼と決まっているが、他にも親と子の食材を組み合わせてメニューができないだろうか。

“タラタラしてんじゃね~よ”という名の食品(菓子)がある。これは某女子プロゴルファーが、海外の大会で優勝争いをしている最中にもぐもぐ食べていて一気に有名になったものだが、ネーミングの由来は、原料に干したタラが含まれているからなのだろう。しかし、“タラタラ”と言うからにはタラだけではなく、タラとその卵であるタラコもいっしょにしたらもっと良いと思う。そこで、そんな料理を作ってみた。

親子でタラタラしてんじゃね~よ丼

  • タラの切り身を適当な味で煮る
  • ご飯の上に海苔を敷く
  • 煮たタラと、タラコまたは明太子を載せるが、今回は弊社が製造しKコーヒー店で販売されている“めんたいマヨソース”を使用
  • <コメント>
    タラは、生タラか塩タラかで味付けを加減しよう。

    また、誰しも自分の人生を振り返って、これまでタラタラと生きてきたことを反省することがあるだろうし、もしあの時ああしていたら、あるいはあの場面であんなことさえしなければ、と後悔することもあるだろう。しかし、そんなことばかり思いわずらっていると、「タラ・レバばっかり言ってるんじゃない!!」とお叱りを受ける。というわけで、タラ・レバを使ったこんな料理はどうだろうか。

    よろしかっタラ食べレバ

  • タラの切り身を適当な味で煮る
  • 鶏レバーに醤油、砂糖、生姜などを加えて甘辛く煮る
  • <コメント>
    単にタラとレバーの煮物を並べただけですね

    2021年12月